強皮症研究会議発足の目的
膠原病は現在もなお原因不明で、いわゆる難病の大きな部分を占めており,その治療は国民医療の上で大きな問題となっています。全身性強皮症は膠原病の代表的疾患として知られ、皮膚を始めとして全身の臓器の結合組織や血管が侵されるために、患者さんはときに様々な内臓病変をきたし、長年に亙る闘病を余儀なくされています。全身性強皮症の患者さんは現在全国で約2万人いると推定されています。これらの患者さんに我々、強皮症研究者が責任をもってその研究、診断及び治療に携わるためには、情報交換および共同研究をする場は不可欠と考えられます。
我が国では昭和48年以来、全身性強皮症は厚生労働省特定疾患として調査研究班が組織されて研究に当たってきました。研究班からは、これまでに多くの重要な研究結果が報告されています。
更に、研究班以外からも診療科を問わず広く強皮症研究者が集まり、最新の情報を交換し、また共同研究を行うことによって、強皮症の診断、治療に大きく貢献することを目的として、平成9年、強皮症研究会議を発足いたしました。その後、現在まで13回の研究会が開催され、毎年1月に早朝から夜まで全国の施設から集まった強皮症研究者により、大変充実した研究会が開催されています。また、隔年で海外より著名な強皮症研究者を招請して講演いただき、一層の研究の向上を目指しています。第6回からは代表世話人である竹原 和彦教授(金沢大学皮膚科)が厚生労働科学研究費・難治性疾患克服研究事業“強皮症における病因解明と根治的治療法の開発”の主任研究者を任されていたこともあり、厚生労働科学研究費・難治性疾患克服研究事業との共催という形で研究会を開催しております。平成20年度からは竹原教授の主任研究者任期満了に伴い、強皮症研究会議幹事の佐藤伸一教授(東京大学皮膚科)が主任研究者となられましたが、強皮症研究会議の事務局はこれまで通り金沢大学皮膚科に置いて、1月の研究会もこれまでと同様の形式で行なっております。これまでに、強皮症相談窓口の開設、患者様向けのリーフレットの作成・配布、医師向け重症度分類・治療指針思案の作成など精力的な活動を行っております。2007年には強皮症研究会議のメンバーが中心となって、強皮症研究に関する国際会議が開催されました。